−祝−  「産業考古学会・第30回(2006年)総会で
            
「志免立坑櫓」が学会の「推薦産業遺産」に認定される
 産業考古学会の第30回総会が5月28日に横須賀市で開催され、「志免立坑櫓」と岩手県八幡平市の「旧松尾鉱山の硫黄産業資料群」と福岡県飯塚市の「旧伊藤伝右衛門邸」の3ヵ所が今年度の学会推薦産業遺産に認定され認定書授与が行われました。
 総会認定式には私と中牟田志免町教育長が参列し、川上学会会長から中牟田教育長が認定書の授与を受けました。
 学会の認定理由は「戦前期ドイツ・ハンマーコプフ型ワインディングタワー式志免鉱業所立坑櫓は世界最古最大の産業遺産である」

【産業考古学会推薦産業遺産とは(抜粋)】…とかく無視されがちな産業遺産に正しい評価を与えて世間に注目させ、また所有者をはじめ関係者に、その重要性をあらためて認識頂く事を目的としている。
 全国の会員から寄せられる「推薦候補」の産業遺産について学会が審査し毎年総会で発表。1985年を第1次として2005年度までに認定された「推薦産業遺産」は全国で71件。

 永年にわたり「志免立坑櫓」を愛しそして保存のためにご尽力頂きました多くの皆様に感謝申しあげます。
 特に、代表推薦人として学会へ働きかけて頂いた北海道産業考古学会会長の山田大隆先生、地元で大変ご支援頂いた九州産業考古学会の木元会長始め九州学会の皆様、本当にありがとうございました。

認定書です



産業考古学会総会の様子です約100名近い会員の参加で開催されました



川上学会会長から認定書の授与を受ける中牟田志免町教育長

 
認定書授与式後の記念写真
左より

山田・北海道産業考古学会会長
中牟田・志免町教育長
木元・九州産業考古学会会長
私、古庄です
   


 認定書を手 に感激の古庄です

歴史に残る日  
  志免立坑櫓「見守り」で保存されることに決定
   掲載日 H17.11.19
 世界の貴重な産業遺産「志免立坑櫓」の保存と活用は私の選挙公約にも掲げその実現に全力投球をしてまいりましたが、昨日(17.11.18)議会の全員協議会で南里町長が「見守り保存のかたちで保存する」と明言いたしました。(11月19日の西日本新聞・毎日新聞朝刊に一部掲載)
町長は先週の特別委員会の席で「残せるものなら残したいとの思いは平成13年1月に旧国鉄志免鉱業所の扇風機坑口を道路を造るため解体した時、各学会、マスコミから烈な批判を浴びた。この時「立坑櫓」は崩せないと感じた」とコメントしました。
 
 思い返せば、私も議員になった時初めて「扇風機坑口」の存在を知り、その素晴らしさに感動した時には既に前議会で壊される事が決定されており、解体を阻止できない自分に強い自戒を持ち「立坑櫓」は絶対に壊させてはならないと決意いたしました。
議会や町の壊す事ありきの環境の中で、まず名詞に立坑櫓を入れ「保存すべき」と立ち上がった時、周囲の冷たい視線や声をついこの間のように思い返します。

 今回町長は、H10年の「志免町文化財保護審議会」、H14年の「日本土木学会」からの保存要請、そして近年の全国放送「NHKふるさとの宝」での志免町の子供たちの声に代表される保存の声等々を聞き、しかし一方、保存の場合の財政負担、安全性を確認する意味で「見守り保存」…(高額な保存への費用をかけず現状のまま保存した場合)の費用と安全性について九州産業大学にその検証を依頼いたしました。
その結果(下記に安全確保のための提言部分だけ掲載)は次の通りです。

安全確保のための提言

◇地震に対する安全確保
コンクリートの中性化、鉄筋の錆の程度から、大地震が来なければ当分は常時荷重では崩壊しないであろうから、改修工事は行わない。工事費の捻出が出来れば、鉄筋錆止め吹付コンクリート表面保護等を考えるとよい。
大地震による崩壊は充分起こり得るであろうが、崩壊しても安全であるように櫓周辺約 40mの離隔距離をとり、その内部に人が入ることが出来ないような、且つ櫓を眺めることが出来る柵又は塀を設ける。
費用が許せば内部に池や水生植物等を配置することも一方法であろう。

◇台風に対する安全確保
130m近くにコンクリート飛散安全ラインを設け、台風時には立看板、立入禁止放送、見廻り等により人の接近を防止することにより、安全性を確保出来るであろう。
また定期的に櫓内部のコンクリート片の撤去・清掃を行い、台風接近時にあわせて再度内部点検を行う必要がある。 

この調査結果と提言を受け、保存できるとして次の3点を保存へ至った理由として述べ(一部古庄解釈)保存することを正式表明したわけです。

 @志免町は石炭産業で繁栄をしてきた。その歴史的背景からも石炭産業なりエネルギー産業の礎である。
 A立坑櫓そのものの世界的価値。
 B志免町のランドマークとなりうる。

今後の動向として、現在はNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の所有なので来年3月末までにNEDOから無償譲渡を受ける手続きに入り、来年4月1日から志免町の所有とする。
 『無償譲渡を受ける土地は、立坑櫓が建っている部分=6,792u 飛び地部分=741u 合計7,533u』
 
必要経費として、来年度予算に立坑櫓から40mの部分にフェンスを設置。ジョギングロードの迂回。等々初期工事費に約1千万円を計上。 その後の年間維持費はコンクリート片の掃除、除草等の費用として約百万円を見込むとのこと。

これらの経緯なり方針を今後パブリックコメントとして町のホームページ、広報等で報告し住民の理解を得るとのこと。

【古庄の所見】
 
まずは最低限での条件「見守り」であっても保存出来ることになり大変満足しています。
立坑櫓の保存方法なり活用方法はその時々の時代背景なり、住民のコンセプトによって議論し語られるべきで、まさに地域のランドマークとしてどう活用するのかの議論なりプロセスが地域づくり、町興しとなる訳です。
地域住民全てが、特に未来を担う若者が、子供たちが、地域の商工会を始め関係団体が、そして議会、町役場の職員が「立坑櫓」をどう町づくりに結びつけ夢を描くか、活用するか、建設的な議論の高まりに期待したい。無論、私もしっかり研究をし提言して行きます。
 4月以降は「文化財」及び「遺跡」の指定に向けて取り組みます。
 そして北海道夕張市と中国、撫順市と志免町とのトリプル姉妹都市の締結に頑張ります。
また「志免立坑櫓を活かす議員の会」「志免立坑櫓を活かす住民の会」として「立坑櫓」をテーマとしたイベントを企画推進します。
 
 
最後に私が常に口にしている「遺産は知産、古き知産を磨いて地域を開く」の言葉を明記し、歴史的決断を下された南里辰己町長に心から感謝と敬意を申しあげます。